「光ファイバ網の構築はすでに競争状態にあり,東西NTTに課せられた開放義務は見直すべき」--。参議院で,通信政策を担当する総務委員会は5月22日,東西NTTに対する規制の大幅緩和を求める決議を採択した。今国会に提出されている,電気通信事業法とNTT法の改正案で,附帯決議として採択したものだ。

 光ファイバ網を含めた通信回線の貸し出し(相互接続)義務は,設備を持つ全事業者に課せられている。さらに東西NTTは,他社への接続料金の算定根拠を明らかにして,総務省の認可を得る必要がある。例えば,加入者系光ファイバーの場合,接続料金は月額5213~5221円と安価。参議院の決議は,これを東京電力などと同様に「事業者間の協議で決められるようにすることを検討せよ」と求めたものだ。

 附帯決議では,このほかにも,東西NTTが従来から主張してきた規制緩和の主張がぞろりと揃った。光ファイバに加え,ADSL(asymmetric digital subscriber line)サービスに対するユーザー料金などの規制も完全撤廃することを要求。

 また,東西NTTの電話事業では,接続料を低廉化するための現在の「長期増分費用(LRIC)方式」や,ユーザー料金の上限を抑える「プライスキャップ制度」の廃止を検討するよう求めた。NTT東西の県間通信事業に関しては,「ブロードバンド・サービスに,県内・県間の区分は馴染まない」として,今以上に参入の手続きを簡素化,迅速化すべきという。

 電気通信事業法とNTT法の改正案は近く参議院の本会議を通過し,6月に衆議院で審議される。衆議院でも同様の附帯決議が決められるのは必至で,今後の総務省の競争政策に大きな影響を及ぼしそうだ。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)