12メガADSL(asymmetric digital subscriber line)技術を巡る干渉問題がひとまず決着した。総務省で干渉問題を議論してきたDSL作業班に参加するADSL事業者が4月24日に協議した結果,「すべての12メガADSL技術に干渉を抑制するのための制限を加えない」ことで合意したことが明らかになった。ソフトバンクBBは同社の12メガADSL技術の干渉が大きいという指摘に猛反発してきたが,結果として同社の狙い通り,何の制限も付かずに利用できることになった。

 DSL作業班では電話線を使う伝送技術を,「クラスA」,「クラスA’」,「クラスB」,「クラスC」という4種類に分類した。利用する距離や太束ケーブル内の収容について,制限が付かないのはクラスAとクラスB。このうち,クラスAは他回線の干渉から守られる技術で,クラスBは他回線の干渉からは守られない技術である。制限が付くかどうかは,クラスAに与える干渉度を計算して判断する。クラスA’とクラスCは制限が付く方式。クラスA’は他回線の干渉から保護されるが,クラスCは保護されない(詳細は日経コミュニケーションの5月12日号に掲載)。

 協議の結果,東西NTTとイー・アクセス,ソフトバンクBBが12メガADSLで利用する技術はクラスAとなった。アッカ・ネットワークスの技術は3方式がクラスA,1方式がクラスBと判断。また,ソフトバンクBBが長距離ユーザー向けに使う米パラダインの「ReachDSL V2」方式もクラスB。いずれも,制限が付かずに利用できることになる。

 今回の合意を含めた報告書は5月2日,干渉問題を議論してきた総務省のDSL作業班の上部組織である事業用電気通信設備等委員会で審議した。総務省は5月中旬,報告書を公表してパブリック・コメントを募集し,6月25日に答申として公表する。