ネットワーク分野の総合展示会「NetWorld+Interop」(N+I)が,米国ネバダ州ラスベガスのラスベガス・コンベンション・センターで始まった(写真)。技術者のためのチュートリアルやワークショップが現地時間の4月27日から5月2日まで,展示会が同4月29日から5月1日まで開催される。

 今回のN+Iラスベガスは,1986年の第1回から数えて17回目。通信機器市場が低迷しているのに加えて,イラク戦争とSARS(重症急性呼吸器症候群)のダブルパンチを受けて,参加企業が大幅に減少した。2001年のN+Iラスベガスでは,800社以上の通信機器ベンダーや通信事業者が参加していたが,2002年は約550社に,今回は300社弱まで落ち込んだ。新製品の発表も,2002年は約150あったが,2003年は80程度にとどまる見込みだ。

 ただそんな中でも,注目を集めている分野はある。無線LANとセキュリティの2分野だ。無線LAN分野では,既存のセキュリティ機能であるWEP(wired equivalent privacy)のぜい弱な部分を改良した,新規格WPA(Wi-Fi protected access)に対応した新製品に注目が集まる。このほか,無線LANと従来の有線LANの統合を可能にする製品,無線LANにおけるQoS(quality of service)の確保や複数機器の管理を容易にするシステムなど,幅広い製品が発表される。

 セキュリティ分野では「SSL-VPN」に対応した製品が目新しい。Webブラウザが標準搭載するSSL(secure socket layer)を利用して,リモート環境から社内ネットのVPN(仮想閉域網)へ接続する技術だ。多数のセキュリティ機能を備えたセキュリティ・アプライアンス製品にも,注目が集まりそうだ。

 4月29日の基調講演は,まず2年連続で米シスコ・システムズのジョン・チェンバース社長兼CEOが登壇。ネットワークの活用や技術革新による生産性向上に関してスピーチをする。そのほか,米コンピュータ・アソシエイツのクマー会長兼CEO,米エクストリーム・ネットワークスのスティット社長兼CEOなど,計6人の講演が予定されている。世相を反映してか,「今こそ投資や技術革新を」とよびかける趣旨の講演が揃った。また,N+Iに出展した製品から優秀なものを表彰する「Best of Interop Awards」も,29日に開催される。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション)

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