NTT(持ち株会社)は4月23日,2003~2005年度のグループ3カ年経営計画を発表した。同計画は,2002年11月に発表したNTTグループの将来構想「“光”新世代ビジョン」に基づいて,市場開拓や研究開発の方向性を示したもの。

 具体的には(1)現在よりも大幅に通信品質を高めた「レゾナント(共鳴)コミュニケーション」環境で提供するサービスの開発体制を整備する,(2)FTTH(fiber to the home)回線などの販売を大幅に強化する,(3)通信環境を支える基盤技術を創出するために研究開発を活性化する--など。FTTH回線は,2003年3月期から2006年3月期までの3年間で500万回線の純増を計画。同期間に400万回線の純増を見込むADSL(asymmetric digital subscriber line)よりも高く設定した。

 さらに,NTT東西地域会社が光ファイバ回線を使った高品質のIP電話サービスを提供する可能性に言及した。NTT法の規制により県間をまたぐ通信が制限されているため,東西NTTがIP電話サービスを手がけるには認可が必要になる。これに対し和田紀夫NTT社長は,「今の前提を気にしなければ経営計画の幅が広がる」と主張。東西NTTに対するさらなる規制緩和を望んでいることを言外ににじませた。

 このほかNTTは2005年度の連結業績として,売上高11兆7000億円,営業利益1兆6000億円との目標を掲げた。2002年度の連結ベース(2002年11月の中間決算での予測)と比較して売上高で7000億円以上,営業利益で3000億円以上の数字。加入電話や専用線など既存のサービスは,2002年度と比較して1兆円の減収になるが,IP系サービスの増収や費用削減によって賄うとしている。

(島津 忠承=日経コミュニケーション)