CATV大手のイッツ・コミュニケーションズ(イッツコム)は4月21日,インターネット接続サービス「かっとび」にIP電話サービスを追加すると発表した。8月から試験サービスを開始し,12月1日に本サービスへと移行する。料金やサービス名などは未定。「050」で始まるIP電話専用の電話番号をイッツコムが総務省から直接取得し,ユーザーに割り当てる。

 IP電話を利用できるのは,CATVだけでなく,ADSL(asymmetric digtal subscriber line),FTTH(fiber to the home)のインターネット接続サービスのユーザー。同社はADSLはイー・アクセスとNTT東日本,FTTHはNTT東日本から回線を調達することで提供している。またイッツコムとネットワークを相互接続するCATV事業者が,イッツコムの設備を使いIP電話サービスを提供する。今のところ,YOUテレビ(横浜市鶴見区),横浜ケーブルビジョン(横浜市旭区)が参加を表明している。

 端末にはSIP(session initiation protocol)を呼制御プロトコルとする製品を使う。従来CATV事業者はIP電話の呼制御プロトコルとして,MGCP(media gateway control protocol)を採用するケースが多かったが,「かっとびでは他の事業者から回線を調達しADSLサービスを提供している。この事業者はすでにSIPを使ってIP電話サービスを提供しており,相互に通話する際の親和性を考えた。また,CATVでも呼制御にSIPを使っても問題ないと技術面から判断できた」(イッツコム)としてSIPを採用した。

 なお,NTTの加入電話などとの外線接続に使う中継通信事業者は選定中である。今のところ,イッツコム,YOUテレビ,横浜ケーブルのそれぞれのユーザー間での通話は料金を無料にする見込み。他のCATV事業者やインターネット接続事業者(ISP)との提携による無料通話に関しては今後,サービス開始までに詰めていく。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)