NTT東西地域会社は4月18日,2003~2004年度に適用する電話接続料の認可を総務省に申請した。電話接続料は,他事業者が東西NTTの加入電話網・ISDNを使う際に支払う料金。3月末に総務省の情報通信審議会が「平均4.8%の値上げ」を認める答申を出している。今回,東西NTTは答申通りの料金をそのまま申請した。4月22日に開く情報通信審議会で審議する予定で,総務省は4月~5月中には申請を認可する見通し。

 東西NTTが申請した接続料の内訳は,加入者線を束ねている加入者交換局(GC)での接続で3分4.37円(前年度比12.1%減),1県に原則1カ所ある中継交換局(ZC)の接続で同5.36円(同2.9%増)である。

 一方,接続料の値上げに反対してきた競合の通信事業者の間では,「接続料の値上げに対抗して法的手段を取るべき」との意見が出ている。17日の社長会見でKDDIの小野寺正社長は「接続料の値上げが正式決定した後になるが,可能かどうかを含めて法的手段を検討している」と発言。他事業者と意見交換をしていることも認めた。

 関係者の間で浮上している法的手段は,(1)総務省が設置した「電気通信事業紛争処理委員会」に異議・仲裁を申し立てる,(2)総務省を相手取った行政訴訟か,東西NTTに対する訴訟,(3)米国や英国などが,日本政府をWTO(世界貿易機関)の場で提訴する--など。ただし(1)は,総務省の決めた制度自体を仲裁の対象にはできないとの見方がある。(2)も,日本では通信制度に関する行政訴訟の前例がほとんどなく,何を争点にするか,勝訴の見込みがあるのか,という課題が残る。また(3)は,外資系の通信事業者が自国の政府を動かせるかが焦点。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)