総務省は2004年をメドに,屋外における電波の利用条件を大幅に緩和する方向で検討に入った。4月末から同省の電波有効利用政策研究会で議論する。緩和策の目玉は自由に使える周波数帯域の拡大と,免許なしで使える無線機器の条件緩和の2点である。

 自由に使える周波数帯域は,可能な限りすべての範囲で見直す。例えば現在,5GHz帯では4.4G~5GHzの範囲を,通信事業者が幹線通信などに使用中。また,今のところ2.4GHz帯などを除き,ほとんどの帯域は免許が必要なサービスに使われている。

 これに対して総務省は「免許を受けている無線サービスの電波影響がないような地域では,無線LANなど免許が不要なサービスを使えるよう開放する」(総合通信基盤局電波部電波政策課)という方針を打ち出した。利用可能な周波数帯域と地域をWebページなどで公開し,「条件を満たす地域では,基本的に届け出のみで事業を開始できるようにする」(同)。

 使用する機器の面でも,免許が必要となる基準を設定し直す。現状は電波出力が10ミリW以上の無線機器は,免許取得が義務付けられている。これを10ミリWより高い出力でもある範囲までは届け出のみで使えるようにする。ただし他の無線機器との衝突(コリジョン)を回避する機能を備えている,などいくつかの条件を定める。また,一定以上の出力を持つ機器は従来どおり免許の取得を必要とする。

 これらの規制緩和により,身近なところでは5GHz帯を使う無線LANの屋外利用が可能になる見込み。また,100Mビット/秒超の伝送が可能な高速無線技術UWB(ultra wideband)の実用化にも道が開ける。

 総務省は電波有効利用政策研究会の場で夏までに骨子を固め,来年の通常国会に電波法の改正案を提出する。新条件による運用は2004年秋以降になるという。