京都市などで実験中の無線LANアクセス・サービス「みあこネット」を提供している日本サスティナブル・コミュニティ・センター(SCCJ)は4月3日,サービスの全エリアで次世代IPのIPv6に対応したと発表した。IPv6を利用する無線LANアクセス・サービスの実証実験としては最大規模になる。実験は,2003年12月末まで継続する。

 みあこネットは,IEEE802.11b対応の無線LAN端末からインターネットに接続できる無線LANアクセス・サービスの一つ。実験サービスであるため,登録ユーザーは無料で利用できる。現時点のサービス・エリアは,京都市およびその周辺地域約160カ所。利用登録者は,3700人いるという。

 IPv6に関しては以前から一部のエリアで,「NetBSD」や「FreeBSD」などUNIXベースのOSを使う端末からの接続環境を提供していた。今回は,全エリア,しかも一般ユーザーが利用する米マイクロソフトのWindows XP搭載の端末からもIPv6で接続できるようにした。

 2002年5月に正式スタートしたみあこネットは当初,セキュリティの強化や基地局間のハンドオーバーを実現するため,ユーザーに専用の無線LANドライバを搭載したPCカード・アダプタと専用ソフトウエアを利用させていた。2003年3月13日以後は,従来の方式に加えて,標準的なIEEE802.11b準拠の無線LANアダプタとWindows 98/2000/XPおよびMac OS Xだけで接続できる新サービス「みあこ2」をスタートさせている。

 みあこ2では,セキュリティ確保に,マイクロソフトのVPN(virtual private network)技術「PPTP」(point-to-point tunneling protocol)を利用する。一方,ユーザーの移動時にセッションを維持して基地局をつなぎかえるハンドオーバー機能には対応していない。IPv6対応サービスは,みあこ2のサービスで提供する。

(野沢 哲生=日経コミュニケーション)