NECは3月28日に役員の人事異動を実施,専務兼NECソリューションズカンパニー社長の金杉明信氏が新社長に就任した。金杉社長は,「NECの強みは,優秀な社員と技術の蓄積。IT・ネットワーク事業や海外のモバイル事業をコアとして,2003年度の営業利益は前年比2倍に当たる2000億円を確保する」と抱負を語った。

 注力するのが,ネットワークとITの融合事業。ネットワーク分野は,通信事業者向けが減少傾向であるものの,光ネットワークやIPなど新規分野が伸びているため,「底は脱した」(金杉社長)との見解を示した。「特に,広域イーサネット・サービスやメトロ(MAN:metropolitan area network)のニーズが非常に大きい」(金杉社長)。モバイル分野は「国内は停滞しているが,中国向けと欧州向けの端末出荷額を前年比5倍,2000億円以上伸ばす」。2003年度予算では,ネットワーク事業の売上高で2けた近い成長を計画している。

 NECは,2000年度から社内カンパニー制を導入し,情報システムなどのIT分野を担当するNECソリューションズと,通信・ネットワーク分野を担当するNECネットワークスなどを,社長が統括する格好だった。新体制では旧2カンパニーを,国内営業,業種営業,システム・サービス,ソフトウエア,コンピュータ,ブロードバンド,社会インフラ,モバイル,パーソナルソリューションの計9事業ラインに再編。ITとネットワークの営業部隊を統合するなど,ネットワーク・ソリューションを提供しやすい体制に移行する。

 注力するITとネットワークの融合領域は,(1)企業/官公庁向けのeCRM(customer relationship management)やeSCM(supply chain management),電子政府サービス,(2)通信事業者やサービス事業者向けのVoIP(voice over IP)サービス基盤やCDN(contents delivery network),P2P(peer to peer),(3)パーソナル向けのインターネット接続サービス「BIGLOBE」やパソコン,モバイルを組み合わせたユビキタス・ソリューション――など。
(閑歳 孝子=日経コミュニケーション)