2003~2004年度に適用される,NTT電話接続料の算定方式が明らかになった。焦点は,通話トラフィックが当初見込みより減った場合に「接続料の上昇分を誰が負担するか」だったが,NTT東西地域会社と他事業者の間で,「どちらが多くトラフィックを減らしたか」に応じて負担配分を決める新方式を採用。この“トラフィック減の原因者負担方式”とも呼べる方式を,28日に開かれる総務省の情報通信審議会で答申する。

 電話接続料は,NTT東西地域会社の電話網を,他事業者が使う際に支払う利用料金のこと。今回の方式では,他事業者がまず負担する「ベース料金」は,1県に1カ所あるZC(中継交換局)の接続料で3分当たり5.36円,電話線を収容しているGC(加入者交換局)の接続料で同4.37円と,平均で約5%値上げする従来案をそのまま採用する。

 一方,ブロードバンドの普及などで通話トラフィックが基準値より減った場合は,接続料の上昇分を,当該年度のトラフィックが確定した段階で,事後精算する。ただし上昇分を他事業者がすべて負担せずに,東西NTTと他事業者のトラフィック変化量で比例配分する新方式を採用する。

 現在,トラフィックを多く減らしているのは,ダイヤルアップ接続への依存が大きかった東西NTT。新しい精算方式によって,他事業者の接続料負担は,当初案より軽減される見通しだ。総務省は,「電話事業者にトラフィックを増やそうとするインセンティブが働く」と,新方式の良い効果を訴えるものと見られる。

 ただし,負担が軽減されそうな他事業者からも「競争条件を歪める」,「経済学的におかしい」という声も出ている。加入電話のトラフィックを増やす努力だけでなく,東西NTTと他事業者が電話のシェアを奪うことで,相手側の精算金額の増減する公算が高いため。また,東西NTTや他事業者が,下手に加入電話ユーザーをIP電話サービスに誘導すれば,自らの接続料負担が増えかねない。新方式が大きな波紋を呼ぶのは必至だ。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)