サン・マイクロシステムズは3月27日,データ・センターのサーバー群を運用するためのアーキテクチャー「N1」を発表した。N1は多数のサーバーやストレージを集中的に管理したり,協調して動作させるための仕組みを提供する。「サーバー管理者の手間を軽減し,システムに柔軟性を持たせることができる」(データセンター・ソリューション事業本部山本恭典本部長)という。N1は米国ですでに2002年9月に発表済み。今回サンは国内での取り組みを説明した。

 サンはまず2003年夏までに複数サーバーを管理するソフトウェアを国内に投入する。具体的には,「N1 Provisioning Server 3.0 Blade Edition」という,同社製のブレード・サーバーを統合管理するソフトウェアを販売する。複数のサーバーを統一されたインタフェースで管理したり,サーバー間での負荷分散や故障時のバックアップを可能にする。価格については,「米国ではハードウェア込みで3万ドル程度とする予定。コンサルティングやサポートの方法,日本での価格などについては詰めている最中」(山本本部長)だという。

 今後,管理対象をブレード・サーバー以外や他社製のハードウェアにまで広げることでシリーズを拡充していく。またOSに関しても,当初はSolarisとLinuxに限定するが,Windowsにも対応させる。

 N1にはもう一つ,数多くのサーバーが協調して動く,いわゆるグリッド・コンピューティングの実現という目的もある。処理するサービスの内容に応じて,適当なサーバーを自動的に選択して構成できるようにする。例えば,管理者が稼働させるサービスとしてオンライン・バンキングを定義すると適当なサーバーが自動的に選択される,といったことが可能になるという。2004年をメドに提供する。さらに2005年には,あらかじめ設定しておいた条件に基づき,処理の優先度を細かく制御する機能に取り組む。優良顧客のトランザクションを優先させる,といった使い方ができる。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション)