総務省は3月13日,電気通信事業法とNTT法(日本電信電話株式会社等に関する法律)の改正案をまとめた。改正案は14日に閣議決定の後,現在開催中の通常国会に提出される。成立すれば,1984年の通信自由化以来となる抜本改正で,一部を除き通信サービスの料金が自由化されるなど,大幅な規制緩和が実現する。

 事業法の改正案の骨子は,(1)ネットワーク設備を持つかどうかで分けていた事業者の区分をやめ,通信事業への新規参入を原則として届出制にする,(2)設備を持つ第一種電気通信事業者に義務付けていた料金届け出を廃止し,料金を自由化する--など。(1)によって,通信事業者は,自社設備か他人の設備か区別なく,自由にネットワークを構築できるようになる。また,(2)によって,事業者は提供料金をユーザーごとに価格交渉で決められる。

 もっとも,一部で従来の規制を引きずった部分もある。(1)については,大規模な通信設備を持つ事業者は総務省に「登録」を申請し,審査を受ける必要がある。(2)も,「ユニバーサル・サービス」とされる市内電話などは,NTT東西地域会社と他の通信事業者を含めて,届け出料金でしかサービスを提供できない。なお,独占的事業者である東西NTTについては,引き続き電話設備の開放義務などを課す。

 一方NTT法の改正案は,電話サービスで東西均一料金が保てるよう,事業者が支払う電話接続料も東西同一料金にする制度を盛り込んだ。具体的には,モデル上は接続料が低いNTT東日本からNTT西日本に対して,差額分の金銭を交付する形を取る。交付金は税金が免除になる。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)