NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は3月中旬,NTTドコモ・グループのiモード携帯電話機向けに独自のブラウザフォン・サービスを始める。NTTコムのインターネット接続サービス「OCN」の契約者を対象に,「モバイルウィング」の名称で提供する。パケット通信料無料のコンテンツを用意して本家iモードとの差異化を図る。

 NTTコムは,NTTドコモが用意した相互接続点と接続することで,一部の旧機種を除きすべてのiモード対応端末に対して,ニュースや天気予報など独自のポータル・サービスを提供する。いくつかのメニューを用意し,中にはコンテンツ・プロバイダがパケット通信料を負担することで,ユーザーが通信量無料で利用できる「パケットフリーサービス」をもある。携帯電話の充電用コネクタに差し込むことで,自動的にNTTコムのサイトへ接続する専用アダプタも準備中である。メール・サービスやインターネット上のコンテンツのアクセスについては現在のところ明らかになっていない。

 ユーザーは月額300円のiモード使用料の代わりに,モバイルウィングの利用料と,NTTドコモに対して携帯電話のパケット通信を利用するための「デュアルサービス・ライトプラン」(月額150円)を契約する必要がある。

 モバイルウィングは,総務省が2001年に打ち出したブラウザフォンのオープン化指針を受けて,NTTドコモが2002年1月に発表したiモード解放策に基づくもの。インターネット接続事業者(プロバイダ)各社は11月からNTTドコモと,iモード用パケット網との相互接続試験を始めていた。

 ただし,他のプロバイダがNTTコムにすぐ続くかどうかは不透明だ。プロバイダがNTTドコモに支払う網使用料の負担が大きいことなど,ブラウザフォン・サービス参入に対するハードルは依然として残る。こうしたことからプロバイダ各社は「現時点では環境が整っているとは言えず,参入するかどうかを含めて検討中」(ニフティ),「すぐに独自のブラウザフォン・サービスを提供する方向にない。ビジネス的な観点から検証を続ける」(ソニーコミュニケーションネットワーク)としている。