NTT持ち株会社とNTT東日本,NTT西日本は2月28日,2003年度の事業計画を発表した。東西NTTともに,電話や専用線など主力サービスの回線数が減る影響で大幅な減収となる見通し。フレッツ・シリーズなどのIP系サービスの増収と人件費など費用の削減でカバーする。

 2003年度に加入者数が伸びる見込みなのは,ADSL(asymmetric digital subscriber line)サービス「フレッツ・ADSL」やFTTH(fiber to the home)サービス「Bフレッツ」などIP系のサービスだけ。IP系サービスは,NTT東日本が2002年度より720億円増の1610億円,NTT西日本が2002年度より660億円増の1410億円に引き上げる計画である。

 IP系サービスの中で,特に力を入れるのがBフレッツ。NTT東日本の三浦惺社長(写真)は,「近く料金値下げを検討している。さらに,特定エリアで集中的に営業と工事を一緒に進めて,工事期間の短縮などに取り組む」と言う。このため2003年度は,アクセス網の光ファイバ化向けにNTT東日本が900億円,NTT西日本が1400億円を投入。2003年度末には「きせん点」と呼ぶ加入者線の途中地点までの光ファイバ化を,東日本で80%,西日本で75%に到達させる。

 もっとも,IP系収入だけでは電話音声の減収を穴埋めできない。音声収入は2002年度に比べて,NTT東日本が1290億円,NTT西日本が1000億円も減る見通しのためだ。総収入はNTT東日本が1290億円,NTT西日本が960億円の減収となる。もっとも東西NTTともに,合理化の効果で費用を1000億円程度削減するため,2003年度の経常利益はNTT東日本が370億円,NTT西日本が10億円になる見込み。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)