通信帯域やダーク・ファイバなどの回線資源を,通信事業者同士で“時価取引”する「ネットワーク資源取引市場」の創設を目指した実証実験が始まった。民間企業16社や経済産業省,東京都,大阪府などが参加する「ネットワーク資源仲介ビジネスコンソーシアム」(会長:後藤滋樹・早稲田大学教授)が2月18日に発表したもので,3月末までの第1フェーズ,5月末までの第2フェーズに分けて実施する。

 コンソーシアムが目指すのは,通信事業者が抱える通信回線の余剰分を市場取引の対象として,期間限定で回線容量を増やしたいという事業者のニーズを満たしたり,事業者間で円滑に回線を融通し合える環境を整備すること。通信事業者のほかにも,供給者としてダーク・ファイバを抱える公益事業者や地方自治体,ユーザーとして回線需要が変動するコンテンツ配信事業者や一般企業なども市場に参加できるようにする。取引の対象はダーク・ファイバや光回線中の波長,論理回線,イーサネット回線などを想定する。

 実験では,東京都内と大阪府内に,回線提供者が乗り入れるポイントを設置した上で,シミュレータによる仮想的な取引を実施。成立した取引に伴って回線を自動的につなぎ換えるという,一連の回線の“売買”を実演する。費用は参加企業が持ち寄るほか,経産省が2002年度補正予算で確保した5000万円を執行し,実験を後押しする。

 実験に参加する民間企業は,NECのほかグローバルアクセス,ケーブル・アンド・ワイヤレスIDC,日本ネットワーク・エンジニアリング,TOKAI,野村総合研究所,三菱商事など。実験終了後,コンソーシアムの傘下企業が結果を受けて,商用化の道を探る。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)