「ユーザーに課金するかどうかを問わず,商用目的ならばコンテンツ配信事業者からもライセンス料を徴収する」(MPEG LAのローレンス・ホーン副社長)--。映像・音声の圧縮・伝送方式「MPEG-4」のライセンス体系が2月4日に最終確定したことを受けて,ライセンスの管理・運用を担当する米MPEG LAが2月10日,日本で説明会を開催した。

 MPEG-4のうち,映像符号化部分の「MPEG-4 Visual」のライセンス体系が2002年に固まった際に,その適用範囲が物議を醸した。機器や対応ソフトウエアの供給元に加えて,MPEG-4を使って映像配信サービスを提供する事業者からも,映像配信のストリーム数や時間に応じたライセンス料を課すと決めたからだ。2月4日に決まった多重化・伝送方式「MPEG-4 System」でも,このライセンス体系が引き継がれた。

 説明会では,「無償の映像配信ならば,MPEG-4の利用にライセンスを課さない」(MPEG LAのホーン副社長)ことを明言。例えばMPEG-4を利用した個人間の映像通信の場合は,ライセンス料を課されるのは機器やソフトを提供したベンダーまでである。

 一方,インターネット接続事業者(プロバイダ)を含む通信事業者や,コンテンツ配信事業者がMPEG-4を使う場合は,配信行為で事業者が収益を得るならライセンス料が課される。通信事業者が自らコンテンツを配信する場合,直接の収入はなくても「通信料金にサービス提供の原資が含まれている」と判断され,課金対象となりそうだ。

 コンテンツ配信事業者やパッケージ・メディアの発行元に課す,1コピー当たりのライセンス料は,映像作品の30分(またはそれ以下)につき0.01ドルで,作品当たりでは0.04ドルを上限とする。ただし作品が5年以上の旧作ならばこの料金は半額に,12分未満の作品ならば,0.002ドルの定額となる。ユーザー数が5万人未満の事業者は支払いが免除される。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)