日本無線(JRC)は,幕張メッセで開催中の「NET&COM2003」で,26GHz帯を使うFWA(固定無線アクセス)サービス・システム「ワイアレスIPアクセスシステム」(WIPAS)を出展している(写真)。WIPASは,無線基地局装置と加入者端末で構成。現在のWIPASの最大データ伝送速度は23Mビット/秒だが,5月をめどに最大60Mビット/秒の製品を出荷する計画だ。

 WIPASは現在,NTT東日本のFTTH(fiber to the home)サービス「Bフレッツ」の1メニュー「FWAタイプ」で使われている。2002年9月から「Bフレッツ マンションタイプ」の利用エリアで提供中で,利用料は月額8700円である。NTT西日本もBフレッツ向けに,WIPASの実証試験をしている。

 WIPASの通信方式は,JRCが独自に開発した。基地局からの電波の到達距離は,強い雨を想定した状態で700m程度である。仕様上は8チャネルの周波数を利用でき,基地局は1チャネルあたり最大230端末を収容可能だ。また,基地局がVLANタグを使って各端末からのパケットをすべて識別することで,なりすましを防止できる。

 JRCが5月をめどに出荷する新型WIPASは,早ければ今夏にもNTT東西地域会社のBフレッツに採用される見通しである。JRCは次の課題として,VoIP(voice over IP)機能や加入者端末への無線LAN機能の追加を検討している。

(杉山 泰一=日経コミュニケーション)