最大24Mビット/秒のADSL(asymmetric digital subscriber line)技術が1月31日,ITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)の会合で確定した。5月にも,正式に勧告化される予定。標準技術が確定したことで,24メガADSLサービス開始に向けた条件整備が進むことになる。今春以降,ADSL事業者各社がサービスを始める計画だ。

 ADSL技術の標準化を担当するITU-TのSG(study group)15は,1月20日から31日まで会合を開催。24メガADSL技術として,「G.992.5」(旧称G.adslplus),日本向けの「G.992.1 Annex I」(以下,Annex I)の二つが参加者の合意を得た。どちらの方式も,変調に利用する周波数帯を8メガ/12メガADSL技術に比べて2倍の26k~2.2MHzに拡張して高速化する。

 G.992.5とAnnex Iの主な違いは,日本のISDN回線からのノイズ対策。Annex Iは,G.992.1 Annex Cと同様にISDN回線と同期して送出データ量を変更する。現状ではG.992.5でISDN対策を施した仕様はないが,日本の通信機器メーカーなどがG.992.5のAnnex Cとして標準化を進める計画。ソフトバンクBBはG.992.5,東西NTT,イー・アクセス,アッカ・ネットワークスなどは,Annex Iを採用する見通しである。

 今回のITU-T SG会合では,ソフトバンクBBが出した提案が波紋を呼んだ。ソフトバンクBBは,「Annex C仕様の拡張はやめるべき」と主張。一時は,Annex Cの拡張であるAnnex Iの標準化が遅れるのではないかと危惧する声が出ていた。Annex Iの標準化が遅れれば,ソフトバンクBB以外のADSL事業者の24メガ・サービス開始が大幅に遅れる恐れがあったが,今回の会合でG.992.5とAnnex Iが同時に確定した。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)