米マサチューセッツ工科大学(MIT)に本部を置くオートIDセンターは1月22日,慶応義塾大学のSFC(湘南藤沢キャンパス)内に研究拠点を設立したと発表した。リサーチ・ディレクターには,慶応義塾大学の村井純教授が就任した。オートIDセンターの日本拠点は,モノにグローバルなIDを付与してネットワークで管理するシステムの研究開発を担当する。

 オートIDセンターは,MITが1999年に設立した産学で構成する非営利組織。現時点で世界の88社の企業が参加。RFID(radio frequency identification)タグという非常に小さな無線通信機能付きのコンピュータをあらゆるモノに付けて,そのモノが「いつ,どこに,何が」(where,when,what)あるかをコンピュータ機器に自動認識させ,ネットワークで管理するという構想の実現を図っている。

 日本への拠点設立は,MITのほか,英ケンブリッジ大学,オーストラリアのアデレード大学に続き,4番目。近い将来に,中国・上海の復旦(fudan)大学にも研究拠点を設立する予定だという。

 すべてのモノをネットワークで管理するというオートIDセンターの構想は,すぐにプライバシー侵害への不安につながる。日本拠点のリサーチ・ディレクターに就任した村井教授はこの点について,「オートIDの実現には,技術に対する社会の正しい理解,また社会から技術へのフィードバックが非常に重要」と繰り返し強調した。

(野沢 哲生=日経コミュニケーション)