NTTドコモは1月17日,発売を延期していたNEC製の新型FOMA端末「N2051」を1月23日から販売すると発表した(写真上)。当初は,12月中旬に発売する予定だった。従来製品より待ち受け時間が約3倍長く,また動画メール・サービス「iモーションメール」に対応することが最大の特徴だ。

 NTTドコモは1月18日から,やはり発売を延期していた富士通製の新型FOMA端末「F2051」を発売(写真下)。F2051は12月下旬に発売する予定だった。F2051もバッテリの持ち時間が大幅に改善され,iモーションメールに対応する。

 これまでのFOMA端末の大半は,連続待ち受け時間が約55時間しかなかった。このため,電話やメールを頻繁に利用するユーザーはバッテリが一日も持たないケースが目立った。新型FOMA端末の連続待ち受け時間は,N2051が約180時間,F2051は約170時間と,実用的なレベルに向上した。

 新型FOMA端末の発売に伴い,従来機種のうち「N2001」,「N2002」,「P2002」,「P2101V」,「D2101V」の5機種の出荷を停止する。いずれの製品も連続待ち受け時間が約55時間と短かった。

 NTTドコモは今回の2製品の発売により,累計32万ユーザーという2003年3月末時点の目標達成を狙う。2002年12月末時点のFOMAユーザー数は15万2000だが,月間純増数は3000に留まっていた。

 また,N2051とF2051はNTTドコモが開発費の半額を負担した。FOMA端末の開発には最大で90億~100億円程度かかり,端末ベンダーに大きな負荷がかかっていた。NTTドコモは,今後発売するFOMA端末の開発費についても当面はその半額を負担する考え。

 NTTドコモと端末ベンダーで開発費を折半すれば,端末の販売価格の低廉化と新製品の開発促進を期待できる。また,NTTドコモにとっては端末に関する様々な知的財産権(IPR)をベンダーと共有できるメリットもある。FOMAは,今後多数の国で商用化が見込まれるW-CDMA方式に準拠した第3世代携帯電話。IPRの潜在価値は大きい。

(杉山 泰一=日経コミュニケーション)