NTT(持ち株会社)とKDDIは1月15日,それぞれ定例社長会見を開催し,NTT東西地域会社が認可申請中の県間通信事業についてコメントした。総務省が認可する方向で検討しているため,NTTの和田紀夫社長は終始余裕の表情だった。対するKDDIの小野寺正社長は,「東西NTTの県間進出は認められない」と強く反対する姿勢を示した。

 東西NTTの申請は,各県単位で運用している地域IP網を相互接続して広域化するというもの。和田社長は地域の概念がないIP通信用のインフラだから当然認めてほしい」と主張した。KDDIや日本テレコムなど19社が連名で反対する意見書を総務省に提出したことには,「反対したのはごく一部の事業者だけ。多くのプロバイダやユーザーは賛成してくれている」(和田社長)と述べ,問題にならないだろうとの認識を示した。

 一方,KDDIの小野寺社長は,「東西NTTの県間進出は競争促進につながり,短期的にはユーザーにメリットがある。だがNTTの独占体制が再び強まることになり,長期的には通信料金が高止まりする」と主張。さらに,「短期で終わるメリットと,日本の将来につながる長期的なメリットのどちらを取るのか,問いかけたい」とした。

(島津 忠承=日経コミュニケーション)