トレンドマイクロは1月7日,2002年1月1日~12月31日までのウイルス感染被害状況をまとめた「2002年度ウイルス感染被害年間レポート(最終版)」発表した。ウイルス被害の報告件数は5万2172件と,2001年の2万5644件の2倍以上に拡大したことが分かった。

 2002年は,ネットワーク経由で自己増殖しながら感染被害を拡大していく「ワーム型ウイルス」が上位に並んだ。さらに,これらワーム型ウイルスの感染報告が長期間に渡ったことが2002年の大きな特徴となった。例えば,年間の総被害件数1万8545件でトップになった「WORM_KLEZ」は,月間被害報告件数でも4月から11月までの8カ月間もトップを続けていた。

 ワーム型ウイルスの被害が長期間に渡った理由は,共有ドライブへの感染,電子メールの差出人詐称,ウイルス対策ソフトの強制終了など活動内容が多様化したため。さらに,ブロードバンド回線の普及が家庭や小規模事業所のネットワーク化を後押し,結果として感染の機会を増加させた。

 トレンドマイクロは今後,電子メールの件名や本文を工夫することで添付ファイルを必ず開かせるウイルスが増加すると予測している。電子メールを受信したユーザーが添付ファイルを開くと,WebブラウザであるInternet Explorerのセキュリティ・ホールを悪用して感染する。トレンドマイクロはユーザーに対し,セキュリティ・ホールを修正すると同時に,安易に添付ファイルを開かないよう警告している。

(加藤 慶信=日経コミュニケーション)