KDDIの小野寺正社長は12月18日,定例記者会見で携帯電話事業の今後の方針などを明らかにした。携帯電話市場の今後に関しては,「既に7000万加入を突破し成熟期にある。2003年の純増は全体で500万前後にとどまる」との見通しを示した。その上で,高速パケット通信技術「1xEV-DO」(1x evolution-data only),テレマティクス・サービス,法人向けサービスが重要になると語った。

 1xEV-DOは,cdmaOneをベースとしたデータ通信専用のパケット通信技術。データ通信速度は下り平均600kビット/秒(最大2.4Mビット/秒)に達する。米クアルコムが開発した「HDR」(high data rate)をベースにしている。

 同社は2003年4月から,1xEV-DOの試験サービスを始める。1xEV-DOの導入はパケット通信料金の引き下げが目的で,完全定額料金もありえるとしてきた。だが,「移動体では限られた電波を複数のユーザーで共有するため,完全定額料金は難しい。通信速度を限定したり,利用パケット数に上限を設けるなどのやり方を検討している」と,何らかの制限を設ける考えを示した。

 通信料金については,「割引プランを使っても1パケット当たり0.1円という現在の料金は,まだ高すぎる。1xEV-DOを導入すれば,ビット単価は現在のCDMA2000 1xよりも大幅に引き下げられる」としながらも,具体的な料金については明言を避けた。

 テレマティクスや企業向けサービスに関しては,2002年に入りトヨタ自動車が提供するテレマティクス・サービスの「G-BOOK」や,企業向け位置情報提供ソリューションの「GPS-MAP」などが立ち上がりつつあると説明。「市場が飽和する中,個人向けのサービスだけではいずれ行き詰まる。企業向けサービスや特定用途端末のニーズなどを開拓し,市場を底上げしていきたい」と語った。