シスコシステムズは12月12日,ADSL(asymmetric digital subscriber line)/FTTH(fiber to the home)などのブロードバンド・サービスに対応するため,通信事業者向けエッジ・ルーターへの機能追加や機能拡張を発表した。新バージョンのOS「IOS12.2B」で対応する。通信事業者は,1台のルーターでより多くのユーザーを収容できるようになる。

 対象となるルーターは,「Cisco 10008 Internet Router」,「Cisco 7200 VXR」,「Cisco 7401 BBモデル」の3機種。これら機種の既存ユーザーは,OSを更新して機能を追加できる。OS更新に必要なライセンス料は,1台あたりおよそ400万円から。Cisco 10008本体も購入する場合は,最小構成でおよそ1300万円から。

 Cisco 10008は,これまでMPLS(multiprotocol label switching)を使ったIP-VPNサービスのエッジ・ルーターとして導入されてきた製品。IOS12.2Bを導入することで,新たにPPPoE(PPP over Ethernet)/PPPoA(PPP over ATM)やL2TP(layer 2 tunneling protocol)の終端機能などを追加できる。このため,ADSL/FTTHサービスのエッジ・ルーターとしても利用できる。

 同時接続可能な最大セッション数,L2TPの設定トンネル数は,共に最大3万2000。ATM(非同期転送モード)インタフェース・モジュールを使った場合でも,最大3万2000のVC(仮想チャネル)を設定できる。2003年中に,新モデルのプロセッサ・モジュールを出荷予定で,既存のプロセッサ・モジュールと置き換えれば,最大セッション数などを6万4000に拡張できる。

 Cisco 7200 VXRとCisco 7401 BBモデルの2機種は,ADSL/FTTHサービスのユーザー収容ルーターとして使われてきた製品。従来からL2TPやIPsecなどのVPN機能を搭載しており,ブロードバンド・サービスのエッジ・ルーターとして使われてきた。今回IOS12.2Bを導入することで,処理性能が従来の8000セッションから1万6000セッションに向上する。

(加藤 慶信=日経コミュニケーション)