総務省の情報通信審議会は12月11日,NTT東西地域会社が認可申請していたxDSL(digital subscriber line)に関する接続約款の変更について,条件付きで認可すべきという答申を出した。混乱しているADSL(asymmetric digital subscriber line)問題が,解決に向け一歩前進した。

 東西NTTの接続約款変更の内容は,ADSLサービスの干渉問題について規定したもの。民間標準化団体の情報通信技術委員会(TTC)が2001年11月に制定した「JJ-100.01」標準に基づき,ADSLなどの技術を二つに分類した。第1グループ(1G)になれば制約はないが,第2グループ(2G)になると,太束ケーブル内での収容位置や伝送距離が制限され,接続料金も月899円の値上げとなる。JJ-100.01で規定していない12メガADSL技術などは,暫定的に分類して利用できる。

 これに対して情報通信審議会は,条件付きで認可すべきと答申。条件とは,(1)新技術を暫定的にグループ分けする時はADSL事業者が東西NTTや総務省に対して,技術仕様を書面で提出すること,(2)暫定的にグループ分けしてから2カ月経っても正式な分類が決定しなければ,決定するまで2Gとする--の二つ。干渉を及ぼす恐れがある新技術が,暫定方式として大量に開通することを防ぐ意図がある。

 さらに,(1)総務省が基本的な干渉防止の要件を策定してTTCで評価をすべき,(2)ADSL事業者は,総務省や関係者に新技術の技術的仕様を開示して協力すべき,(3)干渉問題のグループ分けが決定していないことをユーザーに知らせるべき--いう要望も出した。

 今回の答申は,接続約款の改定内容に反対していたソフトバンク・グループの意見を受け入れなかった点が多い。ソフトバンク・グループは,「干渉が出てから対処すべき。TTCの標準化作業は技術的に納得がいかない」と主張していた。これに対して,情報通信審議会は,「干渉の原因判明に膨大なコストと時間がかかり,事後規制は非現実的。TTCの標準化作業には問題がない」とした。ただし,「TTCだけでなく総務省で,ADSL事業者などの利害関係者や学識経験者などを含めてルールを検討すべき」と要望した。