総務省は12月2日,ADSL(asymmetric digital subscriber line)サービスを提供する通信事業者を集めて公聴会を開催した。NTT東西地域会社が10月に認可申請したxDSLの接続条件に関する接続約款の変更について,BBテクノロジー,アッカ・ネットワークス,イー・アクセスが意見を述べた。

 東西NTTが申請しているのは,ADSL事業者と東西NTTが接続する際の条件。他回線からの干渉を抑制するため,事前に決めたルールに基き太束ケーブル内での収容制限を設ける。ルールには,情報通信技術委員会(TTC)が2001年11月に規定したスペクトル管理標準「JJ-100.01」を採用する方針だ。

 孫正義ソフトバンク社長兼BBテクノロジー社長は,「事前にきちんとしたルールを作れればよいが,(TTCのJJ-100.01のような)間違った空論で規制されるのは問題。無実のものを死刑にするのと同じだ」と激しく反発した。空論とは,JJ-100.01の前提条件が実環境とかけ離れている計算値に過ぎないとの主張。JJ-100.01では,BBテクノロジーが採用する方式が干渉しない“無実”であっても,計算値で問題があると判断されればサービス中止という“死刑”に追い込まれてしまうと,例えで述べた。

 これに対し,NTT東日本の成宮憲一技術部長は,「JJ-100.01の前提条件は十分想定できるもの。海外の標準化団体の基準とから見ても合理性がある」とBBテクノロジーの主張に反論した。

 また孫社長は,「これまでISDNからの干渉が発生した場合は,その都度対応してきた。ADSLの干渉も,同じように問題が発生したら対処できるだろう」と,問題発生した後に規制すべきとした。

 これに対しアッカやイー・アクセスは,事前にルール化すべきと意見が対立。アッカの坂田好男社長は,「干渉源を判別するには近くのユーザーの回線を止めるといった大変な作業が必要になり,現実的ではない。公的機関でスペクトル管理のルールを決めるべき」と述べた。

 今回の意見を基に総務省の情報通信審議会は,東西NTTの接続約款の変更申請を認可すべきか検討する。早ければ12月中にも,結論が出る見通しだ。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)