総務省は11月22日,平成電電が申請していた,固定電話から携帯電話に電話をかける場合の料金設定権の見直し問題について最終的な裁定を下した。裁定は,「平成電電が利用者料金を設定することが適当である」という内容。NTTドコモおよびNTT持ち株会社は,この裁定に対し,「これまでの主張が結果として受け入れられず,誠に遺憾」とのコメントを相次いで出した。

 従来,固定電話から発信し携帯電話へ着信する電話(固定発携帯着)は,発信側の利用者が固定電話事業者に通話料金を支払うにも関わらず,携帯電話事業者が料金を設定するのが“慣行”だった。平成電電は,7月に紛争処理委員会に平成電電自身で料金を決められるよう,料金設定権の見直しを申請。総務省は慣行見直しに否定的だったが,同委員会は11月5日に,平成電電の直収電話からNTTドコモの携帯電話の着信について平成電電の主張を認める答申を出していた。

 今回の総務省の裁定は,紛争処理委員会の答申にほぼ沿った内容になった。異なるのは,同委員会の答申よりもさらに踏み込んで,「利用者を獲得した事業者が料金を設定する」ことに一般的な合理性を認めた点。単に平成電電とNTTドコモとの2社間の問題を越えて,他の固定電話事業者と携帯電話事業者の関係にも適用しうる内容に変わったと言える。このため,今回の裁定が携帯電話サービスの料金体系全体の見直しにつながる可能性がでてきた。

(野沢 哲生=日経コミュニケーション)