ソフトバンク傘下のビービー・テクノロジー(BBテクノロジー)とビー・ビー・ケーブル(BBケーブル)は11月13日,ADSL(asymmetric digital subscriber line)を使った有料放送「BBケーブルTV」の試験サービスを12月5日から始めると発表した。サービスに問題がなければ,1カ月後の2003年1月から商用サービスに移行する予定だ。

 BBケーブルTVは,「Yahoo! BB」の加入者向けに提供する多チャンネルの「有線テレビ放送サービス」。専用セットトップ・ボックス(STB)を利用して,テレビ受像機で番組を視聴する。事業運営元のBBケーブルはBBケーブルTVのために,7月24日に総務省から「電気通信役務利用放送事業者」の登録を受けていた。

 試験サービスは東京都内在住のYahoo! BB加入者を対象に,約500人のモニターを選んで実施する。都内での商用化を経て,2003年春からは全国の政令指定都市へとサービス地域を広げる計画だ。サービスの基本料金はSTBのレンタル料を含めて月額2500円程度で,17~18チャンネルの番組を提供する。このほか,利用者の好みで月次で契約する3~4のアラカルト・チャンネル,端末側の要求に応じて番組を送信するVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスも用意する。なおサービス加入時には,1万円程度の加入料が必要になる。

 孫正義ソフトバンク社長は会見で「VODでは,ハリウッドの大手映画会社数社などと交渉がおおむねまとまっており,2003年春には大作映画を含む4000タイトルが用意できる」と豪語。また,当初はサービス対象世帯を通信速度2Mビット/秒以上の加入者に限るが,2003年春~夏には新技術の導入で「2Mビット/秒でハイビジョン並み,750kビット/秒でもDVD並みの映像を提供できるようになる」と主張した。その結果,最大12Mビット/秒のADSLサービス利用者ならば,サービス対象世帯を78%から97%とほぼ全世帯に広げられるとしている。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)