ニフティやソニーコミュニケーションネットワーク(SCN),NTTコミュニケーションズ(NTTコム)などの大手インターネット接続事業者(プロバイダ)が,ブロードバンド回線を使ったIP電話で提携交渉を進めていることが分かった。各社のIP電話サービスを相互接続し,それぞれの加入者が互いに無料で通話できるようにする。「名前の挙がった3社に限った交渉ではない。広くプロバイダに相互接続を呼びかけ,交渉を進めている」(ニフティの加藤雄一常務)。今後,さらに複数の大手プロバイダが加わる形で提携が実現しそうだ。

 3社のうちニフティとNTTコムはパソコンを利用するIP電話を提供しているが,電話機を使い加入電話のような使い勝手で利用できるサービスはこれから。11月下旬にも一定の品質を実現したIP電話に「050」から始まる専用の番号が付与されることから,ニフティは「2003年の早い時期」(加藤雄一常務)の参入を目指している。時期は明言していないが,SCNとNTTコムも参入の意向を表明していた。NTTコムは先週,050番号の取得を総務省に申請している。3社などの提携が実現すれば,ADSL(asymmetric digital subscriber line)とIP電話の加入者獲得で先行するソフトバンク・グループに対抗する勢力になりそうだ。

 また,ニフティはプロバイダ間の相互接続とは別に,IP電話の中継網でNTTコムと提携する方針。現在の基幹網ではIP電話の品質を高めることが困難なことに加え,東西NTTなどと加入電話や携帯電話の通話を実現するための相互接続が煩雑なためだ。NTTコムがIP電話の中継網をニフティに提供するほか,加入電話との発着信も中継する。