中国の2大携帯電話事業者である中国移動通信(チャイナ・モバイル)と中国連合通信(チャイナ・ユニコム)は,10月29日から北京で開催中の展示会「PT/EXPOCOMM CHINA 2002」(EXPO COMM)に出展し,互いに特徴あるサービスをアピールしている(写真上・中)。両社の展示ブースは隣接しており,サービスの違いを比較しやすい。

 中国移動通信は,欧州標準のGSM方式での携帯電話サービスを提供するトップ事業者。1億8000万を超す総ユーザーの約7割が,同社のサービスを利用している。中国連合通信は,もともとGSM方式を採用していたが,現在は米国標準のcdmaOneに乗り換えた。年末までにcdmaOneの拡張方式であるCDMA2000 1xを,既存周波数帯で商用化する計画だ。

 中国移動通信は,GPRSというパケット通信方式に準拠した最新のカメラ付きGSM端末3機種を,大々的に紹介している。9月に発売したノキア(フィンランド)製の「7650」,11月から発売するNEC製「N8」,松下通信工業製「GD88」である。実売価格はおおむね6000元(約9万円)程度だという。同社のブースでは,カメラ付き端末で撮影した写真データを,MMS(multimedia messaging service)やBluetooth,赤外線通信を使って,専用Webサイトやパソコンに取り込み,プリンターで印刷。端末の使い勝手や画像品質などを熱心に比較する来場者が目立った(写真下)。

 このほか,(1)米マイクロソフトのOS「Pocket PC」を搭載したPDA型携帯電話機,(2)空港などで提供を始めた公衆無線LANアクセス・サービス,(3)携帯電話機で操作できるスナック菓子の自動販売機--なども紹介している。

 一方,中国連合通信は,現在もGSMサービスを継続しているものの,EXPO COMMではcdmaOneだけをアピール。特に,商用化が近いCDMA2000 1xを熱心に宣伝している。同社のブースには,韓国のサムスンやLG電子,東芝や三洋電機などの最新端末が展示されている。

 同時に,CDMA20001xの商用化と同時期に開始する新サービスを紹介している。具体的には,動画や静止画の撮影・送信,位置情報サービス「gpsOne」,ゲームをはじめとした各種のJavaアプリケーション,Javaより高機能なアプリケーションの開発を可能にする「BREW」--などである。

 同社は,携帯電話サービスだけでなく,インターネット接続サービスにも進出。インターネットVPN(virtual private network)サービスやIDC(Internet data center)サービスに関する展示ある。

 中国には地元の携帯電話機ベンダーも多数存在しており,市場シェアは合計3割前後を占めると言われる。ただし,今回の中国移動通信と中国連合通信のブースを見た限りでは,高機能な機種を中心とした展示であったためか,中国ベンダーの端末は目立たなかった。