NTT東西地域会社は10月17日,ADSL(asymmetric digital subscriber line)事業者との相互接続条件を決める接続約款変更を総務省に認可申請した。TTC(情報通信技術委員会)が2001年11月に定めたスペクトル(周波数分布)管理標準「JJ-100.01第1版」に基づき,接続約款にxDSL回線の収容ルールを整備することなどを新たに記載した。

 JJ-100.01は,電話線を使う通信技術の干渉を抑制するためのスペクトル管理の標準仕様。第1版では,干渉から守られるべき「第1グループ」と,束ねたケーブル内の収容位置や伝送距離を制限する「第2グループ」の二つに伝送方式を分類する。

 第1グループに含まれるのは,電話やISDN,「G.992.1 Annex A」および「G.992.1 Annex C」と呼ぶ技術を使うADSL。現在ADSL事業者が提供する8メガADSL方式などがこれに当たる。第2グループには,SSDSL(synchronized symmetric DSL),SDSL(single line DSL,symmmetric DSL),SHDSL(symmetric high bit rate DSL)など第1グループの伝送方式との間で相互に干渉の影響が大きいとされる伝送方式が含まれる。

 JJ-100.01第1版では,第1グループに対して伝送距離やケーブル内の収容位置に特別な条件はなく,第1グループに分類されているサービスに影響は出ない。しかしBBテクノロジーが「Yahoo!BB 12M」で採用している「Annex A.ex」やアッカ・ネットワークスが採用する「C.X」など,12メガADSLで使う新方式の技術は,まだどちらのグループにも分類されていない。

 これら12メガADSLの技術は,既存のADSL技術とは異なる周波数帯を使うため,新たに干渉を引き起こす可能性がある。通常,回線同士の干渉を抑えるためにTTCが「スペクトル管理標準」と呼ぶルールを作成するが,12メガADSLについては,議論が紛糾して標準化作業が事実上停止している。

 このため,東西NTTはTTCでスペクトル管理標準が決定するまでは,サービスを提供する各事業者と協議し,既に提供中のサービスを含め12メガADSLの新方式を,第1あるいは第2グループのいずれかに暫定的に分類することにした。仮に伝送方式が第2グループに分類されたとしても,収容替えにかかる費用は,例外的にADSLに業者に代わって東西NTTが負担する。

 東西NTTは,このほか接続料金の見直しなどについても接続約款の変更を申請した。総務大臣の認可が得られ次第,実施する。

(蛯谷 敏=日経コミュニケーション)