NTT東日本とNTT西日本は10月10日,12メガADSL(asymmetric digital subscriber line)サービス「フレッツ・ADSL モア」に,NTT局から遠いユーザーを収容する長距離化機能を追加すると発表した。フレッツ・ADSL モアは11月に開始する新サービス。9月に発表したが,長距離化機能は検証中として対応を表明していなかった。

 長距離化機能によって,NTT局から遠いなどの理由でフレッツ・ADSLに加入できなかったユーザーも利用できるようになる。「これまで電話線の伝送損失が60dB(デシベル)以下のユーザーにしか提供できなかったが,70dB程度のユーザーでも利用できるようになる」(NTT東日本)。伝送損失は電話線の長さや太さなどで変わるため一概に言えないが,距離に換算すると約1km延長できる見込みである。

 長距離化向けに採用したのは,「パイロット信号」と呼ぶ制御信号の多重化である。これまで,パイロット信号は276kHzでやり取りしていた。距離が長いと信号が弱まり,制御信号をやり取りできない。この場合は,ADSL通信ができなくなってしまう。これをフレッツ・ADSL モアでは,パイロット信号を複数の周波数から選べるように変更。NTT局から遠い場合は信号が弱まりにくい低周波数にパイロット信号を移せるため,より遠いユーザーも利用できる。この技術は半導体メーカーの米センティリアム・コミュニケーションズが開発したADSLチップの機能で,イー・アクセスも採用している。