日本テレコムは10月7日,インターネット接続事業者(プロバイダ)が相互にトラフィックを交換するために利用する,広域インターネット相互接続(IX)サービス「mpls ASSOCIO」を11月1日から開始すると発表した。地方プロバイダと大手インターネット接続事業者の間を相互接続する用途を狙ったサービスで,2004年3月までに40社程度の加入を目指す。

 mpls ASSOCIOの特徴は,(1)広域分散型IXであることと,(2)ユーザーがMPLS(multi protocol label switching)対応ルーターを使って接続することを前提とする--の2点。

 (1)の利点は,地方のプロバイダなどが東京の大手プロバイダなどと相互接続する際に,長距離区間の専用線料金を支払わずに済むこと。これまで国内では大手の商用IXサービスが東京か大阪でしか利用できなかったため,地方のプロバイダが他プロバイダと相互接続するには,東京や大阪のIXまで長距離区間の専用線を使ってつなぎ込む必要があり,コスト負担が大きかった。

 日本テレコムは,mpls ASSOCIO専用のネットワークを全国に展開し,札幌,東京,富山,大阪,福岡にアクセス・ポイントを設置する。地方プロバイダが最寄りのアクセス・ポイントに接続すれば,他都市のアクセス・ポイントに接続する別のプロバイダと,距離に依存しない料金体系でトラフィックを交換できる。

 (2)は,ユーザー・網インタフェースとしてMPLSを指定しているということ。ユーザー同士のトラフィックは,mpls ASSOCIO網内に設定したLSP(label switched path)を介して交換する。MPLSをインタフェースとする商用データ伝送サービスはこれが世界初となる。

 MPLSを使う利点は,アクセス回線の種類を限定しない点と,LANスイッチなどのレイヤー2技術を使う一般的なIXに比べ,ルートのう回などの冗長性が高い点。ユーザーはアクセス回線としてイーサネット専用線,ATM専用線,高速ディジタル専用線などを利用できる。ただし,ユーザーはRFC3036で規定したLDP(label distribution protocol)を実装したルーターを使って接続する必要がある。日本テレコムでは,米シスコ・システムズ,米ジュニパー・ネットワークス,古河電気工業の製品では接続確認を取っている。

 料金は,相互接続のためにプロバイダ間に設定するLSP単位で発生する基本料と,月額トラフィックに応じた従量課金部分の合計となる。日本テレコムが仮に算出した料金例では,札幌のプロバイダが東京のプロバイダと100Mビット/秒の速度で相互接続した場合,月額料金は109万円。東京近郊のIXを利用する場合に比べ,3分の1以下になるとしている。