総務省は10月2日,固定電話の総通話時間や通話回数といった通話トラフィックの将来予測を議論する「予測トラフィック研究会」を発足させた。2003~2004年に適用する電話接続料の算定に用いるトラフィック量の予測方法などを決めることが目的。数回の会合を経て,2002年内に検討結果をまとめる予定だ。

 NTT東西地域会社が競合電話事業者から徴収する接続料は,通話トラフィックが減るほど値上がりする。2000年をピークに東西NTTを経由する通話トラフィックは急速に減少しており,研究会の検討結果次第では,電話接続料が大幅に値上げされ,ユーザー料金にも波及する公算もある。

 研究会が議論するのは,(1)時系列分析や移動平均法,構造式方式など,どのような方法でトラフィックを予測すべきか,(2)IP電話の影響をどう予測するか,(3)予測の期間や使うパラメータをどう決めるか--など。

 減少傾向が止まらない固定電話の通話トラフィックだが,その最大の要因は,ヘビー・ユーザーを中心にインターネットの利用形態が,ダイヤル・アップ接続から常時接続型へと移行したこと。果たして,現在の傾向から今後の推移を予測できるかどうかが,議論を呼びそうだ。

 いずれにせよ,研究会がトラフィックの予測方法を確定させれば,トラフィックの減少傾向から,接続料の大幅アップにつながるのが必至の状況である。逆に,「トラフィックの合理的な予測は不可能」と研究会が結論付ければ,2001年度などの実績トラフィック値が算定に使われ,大幅な値上げは回避される見通し。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)