紛争処理委員会は9月20日,平成電電が総務省に裁定を申請した「固定発携帯着」の料金設定権の帰属を判断する最初の審議を行った。総務省は,平成電電への料金設定権の移管を認めないとする裁定を諮問したが,紛争処理委員会の各委員は「資料が不十分」などと批判。総務省案に対する判断を見送った。

 固定発携帯着の料金は,携帯電話事業者側が設定するのが慣行となっている。総務省は,携帯電話事業者側の「料金設定権は通信設備の主力を保有する通信事業者側にある」との主張を,合理的であると支持。さらに,慣行を変えるほどの十分な理由が見当たらないことから,平成電電が料金設定権を保有することは認められないとする裁定を委員会に諮問した。

 これに対しある委員は,「料金の多様性を促すには固定電話事業者が料金を設定し,携帯電話事業者は接続料を徴収する形態が望ましいと思う。しかし,裁定案はこうした意見に対する説明を十分にしていない」と指摘。また,「慣行は携帯電話事業者が事業を開始した当初に決まったもの。環境が異なる現在でも通用するかどうかは慎重に判断すべき」などの声も上がり,批判論が集中した。その結果,十分な資料がそろうまで裁定案に対して判断を下さないことになった。

 次回の紛争処理委員会の開催日時は未定。料金設定権をめぐる審議の結論は長期化する可能性が高まった。

(島津 忠承=日経コミュニケーション)