トヨタ自動車は8月28日,自動車向け情報提供サービス「G-BOOK」を今秋から開始すると発表した。データ通信モジュール「DCM」を組み込んだカーナビ(G-BOOK端末)で,双方向型の情報サービスを提供する(写真)。同社の会員制情報サービス「GAZOO」を発展させたものだ。10月からはパソコンやPDA(携帯情報端末)向けにも一部のサービスを提供する。

 G-BOOKサービスの内容は多岐にわたるが,直感的には自動車向けの「iモード」サービスのようなイメージである。メール機能をはじめ,各種情報提供サービスや決済サービスなどを提供する。このほか,自動車の位置情報を利用したセキュリティ・サービスなどもある。

 具体的なサービス内容は,(1)運転中のトラブル発生時に車両位置をセンター側で把握し,救援車両を手配,(2)車の走行距離などから車の状態をネットワーク経由で販売店に通知し,メンテナンス時期を案内する,(3)カーナビと連動してタウン情報などを検索・提供,(4)各種ニュースや天気予報などを提供,(5)自動車の任意保険の内容照会や更新,銀行口座の確認などを可能にする,(6)音楽やゲームのダウンロード,(7)電子メールや掲示板などの機能提供,(8)GAZOOのショッピング・モールの商品購入やコンテンツを購入できる,(9)ユーザーの要望に応じてオペレータが情報検索などを代行する――など。

 料金に関しては,月額定額制ということ以外は明らかにしていない。今秋発売予定の,G-BOOK端末搭載の新型車の発表とともに公表する。「幅広いユーザーが使えるように,リーズナブルな料金で提供する」(豊田章男常務)。ユーザーの利用形態に応じて,複数の料金メニューを用意する計画もあるという。

 G-BOOKの通信インフラには,グループ会社のau(KDDIおよび沖縄セルラー電話)のcdmaOne/CDMA2000携帯電話網を使う。通信速度は最大144kビット/秒と高速なため,ストレスなく情報にアクセスできる。

 トヨタはG-BOOKを自動車の重要な機能の一つと位置付けている。2003年半ば以降に発売するメーカー装着のカーナビには,G-BOOKを基本機能として組み込む。また,今後はG-BOOKを介して家電を制御したり,ホーム・セキュリティ・システムを操作できるようにするなど,他業種との連携も計画している。