ソフトバンク・グループのADSL(asymmetric digital subscriber line)事業者であるBBテクノロジーは8月27日,同社が展開するADSL事業への営業妨害で東京地裁に訴訟を起こし,受理されたと発表した。訴訟の対象は,情報通信技術委員会(TTC)でスペクトル(周波数分布)管理を担当する小畑至弘イー・アクセスCTO(最高技術責任者)。

 BBテクノロジーは,同社が使用するAnnex A方式のADSL技術がスペクトル管理のTTC標準「JJ100.01」で標準的な仕様とされたにもかかわらず,TTCが開催した説明会などで小畑氏が「干渉する可能性が高い」と発言したことなどを列挙。これにより営業妨害を受けたとし,(1)営業上の損失と逸失利益の一部として3億円を支払うこと,(2)BBテクノロジーのADSL事業に対する営業妨害行為をしないこと――などを請求した。

 BBテクノロジーの社長を兼任するソフトバンクの孫正義社長は訴訟に踏み切った背景を,「最大8Mビット/秒のサービスの開始当初に干渉する恐れが強いと虚偽の発言をされ,多大な迷惑を被った。12Mのサービスでも同様の発言をされたため」と説明。訴訟の目的は「お金より,小畑氏がこれまでの行為を間違っていたと認め,明確に謝罪すること」(孫社長)であるとした。

 BBテクノロジーは,小畑氏がCTOを務めるイー・アクセスに対する訴訟は証拠が不十分と判断して見送った。ただし,「小畑氏との裁判の進行次第では,イー・アクセスへの提訴も検討する」(孫社長)方針である。