平成電電は9月上旬,携帯電話事業者との間の“固定発携帯着”の料金決定方法を,独占禁止法違反として公正取引委員会に申告する。申告は独占禁止法違反を通報する行為で,公正取引委員会が受理すれば,勧告や警告などの行政処分を発動するかどうかを審査することになる。平成電電は,携帯電話事業者側が料金を決定する慣行を不公正取引として認定させることで,料金決定権を固定通信事業者側に移す行政処分を得たい考え。

 “固定発携帯着”の通信料金は,料金決定権を得て割安で提供しようとする平成電電と,慣行通り料金決定権を維持しようとする携帯電話事業者4グループとの間で交渉が決裂。既に7月,総務大臣に裁定を申し立てている。平成電電は総務省が管轄する電気通信事業法だけでなく,公正取引委員会が管轄する独占禁止法の発動も求めたことになる。

 日経コミュニケーションの取材に対し公正取引委員会経済取引局調整課は,「最終的なサービス提供者に料金決定権のない取引形態は,独占禁止法に違反する不当な価格指示。個別の事情は承知していないが,固定発携帯着の料金決定方法もこれにあたる可能性がある」と指摘。平成電電は既に公正取引委員会や弁護士と相談しており,「申告は受け入れられる可能性が高い」と判断したという。