東京通信ネットワークからPHS事業を引き継いだ鷹山(YOZAN)は8月26日,通信事業計画の概要を発表した。まずは今秋,PHS向けの定額通話料金プランやIP電話,無線LANアクセス・サービスなどの提供を開始。将来的には,「PHSと無線LANの一体型カードや,IP接続が可能なPHS電話機を提供し,定額料金で利用できるようにする」(高取直社長。写真)。

 具体的には10月から,(1)アステル東京ユーザー向けの定額通話料金プラン,(2)専用PHS端末を使った国際IP電話サービス--の提供を始める。(1)は「キャンペーン導入」という位置付けで,ユーザーの反響を見ながら料金を決定する。YOZANは同時期に,ブロードバンド・ルーターやADSLモデムに接続して使うインターネット電話アダプタ「WebDistributor」の販売も始める。

 また,YOZANは9月下旬から3カ月間,最大2Mビット/秒の無線LANアクセス「Bit Stand」の試験サービスを提供する。アクセス・ポイントは,PHS基地局と併設する形で早稲田や高田馬場,新宿,渋谷の屋外に設置。試験ユーザーは,IEEE802.11b方式の無線LANカードと,認証・課金用のワンタイム・パスワードを受信するポケベルを使う。

 さらに,10月下旬から3カ月間にわたり,東京・板橋区でPHSによる最大64kビット/秒の定額データ通信サービスを試験提供する。PHSの無線基地局に接続するバックボーン回線には,ISDNではなく光ファイバを使用。バックボーンの光化により,いずれは通話サービスもIP化したい考え。

 ただしYOZANは今のところ,各種サービスの利用料金を発表していない。これは,「まだ他事業者と協議を続けているサービスがあったり,インサイダー取引の誘発を避けるため」(高取社長)。また,二つの試験サービスについては,「試験終了後すぐに商用化するのではなく,競合各社の動向を見ながら商用化時期を決めたい」(高取社長)としている。

(杉山 泰一=日経コミュニケーション)