ソフトバンク・グループは,同グループのADSL(asymmetric digital subscriber line)サービス「Yahoo! BB」を利用して,多チャンネルのディジタル放送サービス「BBケーブルTV」(仮称)を2002年9月から始める。IPマルチキャストの技術を利用して,サービスの加入者に2M~4Mビット/秒と高ビットレートの映像を配信するもので,加入者はレンタルされるセットトップ・ボックス(STB)を利用してテレビ受像機で番組を視聴できる。

 サービスは,ソフトバンク傘下のブロードメディア・ティービー企画(本社:東京都渋谷区,社長:橋本太郎氏)が提供する。同社は7月24日,総務省にCATV事業者として登録された。通信回線を使った放送サービスを認めた「電気通信役務利用放送法」を利用して申請していたもので,通信を利用したCATV事業者の登録は初めてである。「IP技術を利用しても,サービス形態や事業モデルが放送であることを,番組供給者や権利関係者に認識してもらうためにも,CATV事業者としての登録が望ましかった」(関係者)と判断した。

 Yahoo! BBの加入者が対象で,1万円の契約料と月額利用料金2500円を支払うと,専用のSTBがレンタルされ,13チャンネルで構成する基本番組パックが視聴できる。このほかに,選択制の番組も用意する。番組の詳細は明らかにしていないが,主にCSディジタル放送と共通した番組になる見込み。STBはサムスン電子から調達する。

 サービスは東京23区から開始し,2002年12月にはさいたま市や千葉市,横浜市,2003年3月以降は札幌市や名古屋市,大阪市,神戸市,福岡市に順次サービス地域を拡大する計画である。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)