長距離系通信事業者大手の米ワールドコムは7月21日(米国時間),ニューヨーク連邦地方裁判所に,日本の会社更生法にあたる連邦破産法11条(チャプタ・イレブン)の適用を申請した。負債総額は300億ドル(約3兆5000億円)強に上ると見られ,米国史上最大の倒産となる。

 ワールドコムは,世界65カ国でサービスを提供する米国2位の大手通信事業者。90年代後半に積極的な買収戦略で企業規模を拡大,米国内では主力事業の長距離系の通信サービスで,AT&Tやスプリントと激しい料金競争を展開していた。しかし,米景気の急激な失速や価格競争の激化で深刻な経営難に陥っていた上,6月には総額約38億ドルの粉飾決算が発覚。今回の破産法申請へと至った。

 国内法人のMCIワールドコム・ジャパンは,98年3月に外資系の企業として初めて第一種電気通信事業者の許可を取得。企業向けを中心に,国際電話,専用線,インターネット接続などのサービスを提供している。現在のところ,「米国外の子会社は対象外。今後も変わらずサービスは継続する」(MCIワールドコム・ジャパン)とのコメントを発表しているが,大幅な事業縮小は避けられない状況だ。

 なお,ワールドコムは米ニューヨークにおいて現地時間の7月22日9時からジョン・シジモア社長兼CEO(最高経営責任者)による記者会見を開くとしている。