NECは7月19日,Webブラウザを使った応答と電話機からの音声を使った応答を連携させるソフトウエア「モアレッシモ/Web・音声統合オプション」を発表した。文字入力が面倒な携帯電話向けに,音声応答の仕組みを取り入れたコンテンツ提供を可能にする。出荷開始は7月24日。

 パソコンと比べた携帯電話の欠点は,文字入力が面倒なこと。そこで,携帯電話のボタンを使って文字を入力する代わりに,音声を使って文字を入力できればユーザーの手間は省ける。Web・音声統合オプションは,こうした用途で利用するソフトウエアで,音声データを文字に変換してページ内に埋め込む機能などを持つ。

 例えば,ホテルの予約受付サービスを想定する。携帯電話のユーザーは,まず希望のホテルをWebブラウザで検索する。その後,Webブラウザ上に表示される「音声入力」のボタンをクリックし,音声入力モードに切り替える。切り替えと同時に自動的に指定の電話番号につながり,住所,電話番号,名前などを音声で入力。再度アクセスしたページには音声入力結果が表示されており,受付内容の確認を求められる--といったコンテンツを作成できる。

 新製品は,NECのモバイル端末向けコンテンツ自動生成ソフト「モアレッシモ」のオプション製品という位置付け。モアレッシモは,Webサイトにアクセスしてきた端末の機種を判別し,コンテンツを最適な記述言語に変換した上で端末に送信する。コンテンツ提供者にとっては,各端末に合わせてコンテンツを用意する手間を省ける。変換元のコンテンツはXMLで記述する。

 Webと音声の二つの応答を連携させる仕組みは,MMXML(multimodal XML)と呼ぶスクリプト言語を使って実現している。MMXMLは,「Webブラウザに表示するコンテンツを作成するXMLと,音声で応答するコンテンツを作成するVoiceXMLを融合させた言語」(NEC)と言う。ただし,現状は第3世代携帯電話を除けば,データ通信と音声通話を同時には利用できない。このため,音声入力に切り替えるには,いったんデータ通信を切断した上で通常の音声通話に切り替える仕組みとなる。

 コンテンツの提供者は,モアレッシモのほか音声認識ボードなどで構成する音声認識システム「VoiceOperater」を用意する必要がある。また現状では,音声応答を受け付ける電話回線を,データ回線とは別に用意しなければならない。価格はモアレッシモ本体が150万円からで,VoiceOperaterは100万円から。Web・音声統合オプションの,Windows版が100万円,UNIX版が160万円である。
(加藤 慶信=日経コミュニケーション)