KDDIは7月9日,全国一律3分8.5円で利用できる企業向けIP電話サービス「KDDIインターネットIPフォンサービス」を正式に発表した。KDDIの企業向けインターネット接続サービスのオプション・サービスとして提供する。サービス開始は7月29日で,10月末までは試験サービスとして提供する。
試験サービス中は,一般加入電話への発信だけを利用できる。FAX通信,データ通信,IP電話間の通話には利用できない。これら通話と一般電話からの着信は,本サービス移行後に利用できるようになる。なお,携帯電話やPHSとの通話,110番などの緊急通報,「0120」などの特番通話には,本サービス移行後も利用できない見込み。
本サービスには,総務省が「050」で始まるIP電話向け番号の割り当てに合わせて移行する。企業の内線電話網を構築できるIP電話間の通話は,技術的には,KDDI側が独自の電話番号を割り当てることで実現できる。しかし,本サービス開始と同時に電話番号が変わるため,当面は既存の一般加入電話への発信専用の試験サービスとした。なお,個人向けIP電話も番号の割り当てに合わせて,サービスを始める方針である。
同サービスでは,VoIP(voice over IP)技術を使って音声データをIPパケットにカプセル化する装置「IPフォンアダプター」を利用する。IPフォンアダプタは,WAN側にルーターを,LAN側に電話機またはPBX(private branch exchange)をつなぐ。PBXをIPフォンアダプタにつなぐ場合は,PBXにIP電話網に発信するための識別番号を割り当てる必要がある。IPフォンアダプタは,1台当たり最大4チャネルまで同時に通話できる。音声符号化方式はITU-T勧告のG.711を採用。伝送帯域は,1チャネル当たり100kビット/秒を使う。
一般加入電話への発信であれば,224カ国・地域への国際通話も可能。主な国・地域への1分当たりの通話料金は,米国が10円,カナダが15円,韓国/香港/中国のアジア各国が40円,イギリス/フランス/ドイツの欧州各国が30円--である。基本料は1チャネルあたり月額2000円。IPフォンアダプタのレンタル料は1台あたり月額4000円とした。
対象となるインターネット接続サービスは,「KDDIインターネット イーサエコノミー」のうち固定IPアドレスを8個以上割り当てる100Mビット/秒以上の品目,「KDDIインターネット プレミアム」と「KDDIインターネット ゲートウェイ」のうち5Mビット/秒以上の品目である。