無線LAN機器最大手のメルコは7月2日,飲食店やホテルなどの公共施設向けに無線LANアクセス・サービス導入を支援するソリューション「FREESPORT導入キット」を発表した。専用アクセス・ポイント(AP),APの設置やネットワーク設定などのサポート,ポスターなどPR用ツールを組み合わせ,7月中旬から3万9800円で販売する。

 専用APはオフィスや家庭向けの従来製品と異なり,無線LANアクセス・サービスの提供に必要なセキュリティ機能や管理機能を備える。具体的には(1)同一APにアクセスしている無線LAN端末間の通信を禁止する「Privacy Separator」,(2)ユーザーがAPに接続した際に特定のWebページを自動表示させる「Popup Technology」,(3)APの利用時間を自由に指定できる「Access Time Control」――を盛り込んだ。

 (1)は,FREESPOTサービスを利用しているユーザーのパソコン内部に,第三者が不正アクセスするのを防ぐ。(2)はFREESPOTユーザーに,店舗案内や周辺地域に特化した情報をプッシュ配信できるようにする。(3)は飲食店などで,来店客で混み合う昼食時や閉店後にはAPの利用を禁止するといった使い方を想定している。無線LAN方式としては,2.4GHz帯無線LANの国際標準「IEEE802.11b」に対応している。

 メルコはこれに合わせて,FREESPOTの普及促進を図る業界団体「FREE SPORT協議会」を発足させた。現時点で,JENS,コンパックコンピュータ,シャープ,東芝,日本テレコム,松下電器産業が参加。また,すでに新宿のヨドバシカメラなど数カ所で,FREESPOTサービスを開始していることも明らかにした。

 さらにFREESPOTの展開と並行して,家庭の無線LAN環境やFREESPOTからオフィスのネットワークにアクセスする際のセキュリティを高める「BUFFALO Anywhere Office ソリューション」を8月下旬から提供する。日本ルーセント・テクノロジーズとの協業により,「IEEE802.1x」に対応した認証サーバー・ソフト「AirStation Radius」や,ルーセントのVPN(virtual private network)ゲートウエイ「Brick」とユーザー管理ソフト「VitalQIP」を組み合わせて販売する。価格は19万8000円から。