総務省の「IT時代の接続ルールに関する研究会」は6月6日,接続ルールに関する報告書案を公表,xDSL(digital subscriver line)に関する接続ルールの変更すべき点を提示した。総務省はパブリック・コメントを募集し,7月中にも最終版の報告書をまとめる。

 接続ルールの変更点は,主にADSL(asymmetric DSL)接続事業者から要望の多かったOSS(operation support system)と呼ばれる顧客・設備情報データベースの開放について。OSSは,NTT東西地域会社が顧客や設備を管理するために構築したシステム。ただし,NTT以外の通信事業者が,xDSLやダーク・ファイバなどNTT東西地域会社の設備を使うサービスを提供する場合にも,OSSを利用する必要がある。

 現状では,このOSSの情報照会に時間がかかるという問題がある。ADSL事業者から依頼があると,NTT東西地域会社はOSSを使いユーザー情報を照会する。この際,(1)電話契約の名義人と別の名前で申し込む,(2)オフトークや信号監視などDSLサービスと共用できないサービスを利用している,(3)光収容である,(4)ISDNに加入している,(5)ドライ・カッパーによるADSLサービスを申し込む――などの場合は,ADSLの利用は「不可」の判定が出る。特に,ADSLの申込者の約1割が当てはまる(1)のケースでは,ADSL事業者から連絡を受けた後,ユーザー自身が「116」に電話して正しい名義人を問い合わせる必要があった。

 報告書では,ユーザー情報の照会結果を簡易に通知するよう提言。電話契約者と申込者の氏名が不一致である場合は,正しい電話契約の名義人を添付してADSL接続事業者へ結果を報告する。ADSL接続事業者は,正しい名義人情報を基に申込者を確認すれば,照会にかかる時間が短縮できる。

 これを実現するにはNTT東西地域会社の契約約款の変更が必要。報告書では,契約約款で電話契約者の名義情報を接続事業者に開示することがあると明記すべきとした。ただし,開示を拒否する名義人の場合は,開示しない方法も確保する。

(閑歳 孝子=日経コミュニケーション)