カナダのノーテル・ネットワークスは米アトランタで開催中の「SUPERCOMM 2002」で,携帯電話の無線規格「1x」ベースの高速データ通信技術「1xEV-DO」に対応した実験システムを公開した。ノーテルは同システムを使い,米携帯電話大手のベライゾン・ワイヤレスと共同で,1xEV-DOのフィールド実験を6月に実施する。

 ノーテルが展示したのは,上段に1x用の交換機,下段に1xEV-DO用パワー・アンプを配置したシステム(写真)。交換機には1x用の通信モジュールに加えて,1xEV-DO用の通信モジュールを実装できる。1xシステムを導入した携帯電話事業者が1xEV-DOサービスを追加する場合,既存の1x交換機をそのまま使えるため,投資負担を抑えられる。

 実験システムでは1xEV-DO用の通信モジュールはまだ動作していないが,ベライゾン・ワイヤレスが1xサービスのデモに使用している。このシステムが既に商用レベルのものであることをうかがわせた。

 1xEV-DOとは,cdmaOne携帯電話や第3世代携帯電話システム「cdma2000」で採用された無線規格である1x方式を拡張したシステム。基地局から端末までの下り方向で最大2.4Mビット/秒のデータ通信が可能である。日本ではKDDIが,2003年秋の商用化を予定している。

(アトランタ発=高槻 芳)