「携帯電話市場が急拡大できたのは90年代まで。次のステージに向けて構造改革を断行すべきだ」--。「SUPERCOMM 2002」の初日に当たる6月2日(現地時間),大手携帯電話事業者/メーカーのキー・パーソンが「Global Communications Strategies」と題するリレー型の講演に出演。携帯電話市場の構造改革の必要性を訴えた。

 “次のステージ”とは,携帯電話サービスの収入源を,音声通話からデータ通信へシフトさせていくこと。携帯電話機器大手であるスウェーデンのエリクソンのトルビョン・ニルソン上級副社長は,冒頭のコメントに続けて,「市場構造が変わり,事業者間で競争するだけではもはや共倒れになる」と警鐘を鳴らした。

 ニルソン副社長は「単にモバイル・データ通信サービスを提供するだけではなく,携帯電話事業者/端末間の相互接続性をとることが不可欠」とも指摘。「GSM携帯電話のショート・メッセージ・サービスは異なるメーカー間でやり取りできる。それが,産業全体に収入増という結果をもたらした」と語った。

 当の携帯電話事業者も,データ通信サービスへの対応を具体化させている。米AT&Tワイヤレスは4月から,NTTドコモのブラウザフォン・サービス「iモード」の米国版といえる「mMode」を開始。モバイル・マルチメディア・グループのアンドレ・ダーン社長は「技術ではなくコンテンツの充実が携帯電話市場を活性化させる」と意気込みを見せた(写真)。さらに「コンテンツ開発環境を向上させていくには,各メーカーで異なる端末のOSが統一されるのが望ましい」と指摘した。

 これを受けてNTTドコモUSAの小野信治社長は,ブラウザフォン・サービスの成功例としてiモードを紹介。「当初NTTドコモの経営陣はiモードに懐疑的だったが,若年層という新しい市場を開拓できた。iモードのユーザー数が取り上げられることが多いが,大事なのはARPU(ユーザー一人当たりの収入)の増加に結びついている点だ」と,iモードの効果をアピールした。

(高槻 芳=アトランタ発)