総務省の「電気通信分野における消費者支援策に関する研究会」は5月31日,ブロードバンド・サービスに関する通信事業者の情報提供について,ルール化を促す報告書を公表した。2001年度にADSL(asymmetric digital subscriber line)サービスへの苦情が急増したことなどから,「通信事業者が消費者に提供すべき情報を明確にして,運用する仕組みが必要」とした。

 報告書では,業界団体などが情報提供ルールを作ることを想定する。提供しないといけない情報や契約時に確認する内容を整理し,ユーザーへの提供方法などをまとめ,通信事業者の運用状況をチェックする。提供する情報の候補には,ブロードバンド・サービスの基準通信速度,制限事項などが入る見通し。現在のADSLサービスやFTTH(fiber to the home)サービスは最大速度を表示しているが,実際には最大速度では利用できないこともあり,ユーザーの誤解を招く恐れがあるからだ。

 ADSLサービスは,通信事業者が相次ぎ新規参入したことによって低料金化が進み,ユーザーが急増した。一方,総務省には2001年度,ADSLに関する苦情や相談が2990件も殺到。苦情の内容は,開通していないのに料金を引き落とされた,通信事業者から接続可能と言われたがつながらなかった,契約時に説明を受けた通信速度の20分の1の速度しか出ない--などである。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)