日本テレコム(JT)は5月23日,「親会社である英ボーダフォンがJTの固定通信部門を売却する方針を固め,東京電力と売却交渉に入った」とした一部報道を否定するコメントを発表した。インターネット接続サービス部門をソニーに売却する交渉もしていないという。

 JTは4月に,既存事業の選択と集中やコスト削減を柱とした構造改革方針の「プロジェクトV」を発表した。今回のコメントでは,この方針に則して「事業の集中化についてさまざまな可能性を検討している」としたものの,固定通信部門の売却に関しては,「交渉はしていない」と完全否定した。交渉相手として名前が上がった東京電力も,「JTと固定通信部門の買収交渉をした事実はない」とコメントしている。

 JTは,プロジェクトVで持株会社制度を導入することや,非中核事業の売却・撤退などを進めることを表明していた。ただし,企業向けデータ通信や一般向け固定電話は「当社の中核事業」(ビル・モロー社長)としながら,売却事業を明言しないなど具体性に欠けた説明をしていた。ただ,CATV事業やADSL(asymmetric digital subscriber line)回線の設備運営部門,インターネット接続サービスの「ODN」などが,非中核事業として売却候補に挙がっていることは認めていた。

(玄 忠雄=日経コミュニケーション)