スリーコム ジャパンは5月22日,企業向けのレイヤー3スイッチの新製品などを国内で発表した。レイヤー3スイッチの新製品はギガビット・イーサネット・ポートを24個備える「3Com Switch 4060」(写真)。出荷時期は6月初旬で,価格は287万9000円である。

 Switch 4060は,同社の製品ラインの中では企業内LANの中核を構成する上位製品に位置づけられる。下位製品の「Super Stack 3シリーズ」と比べ,電源やファンなどの2重化対策や異常検知機能などが追加されている。特徴は,米3Comの独自技術であるXRN(expandable resilient networking)機能を使って冗長化構成を取れること。専用ケーブルで複数のSwitch4060を接続することで,1台が障害に陥った場合に,もう1台の機器で通信をバックアップできる。

 XRN機能を使うには,同時に発表した新製品の「XRNインターコネクトキット」が必要。同製品はスイッチに挿入する専用モジュールとソフトウエア,専用ケーブルで構成する。XRN機能で冗長構成にできる機器は当面は2台までだが,2003年以降には4台以上の機器を使った冗長化構成も可能にする計画。XRNインターコネクトキットは2002年10月ころの出荷予定で,価格は159万9000円。

 XRN機能を使った場合,障害時に機器をバックアップするのに要する時間は約5秒程度という。レイヤー3スイッチなどを冗長化する技術は,RFC2338で標準化された「VRRP」(virtual router redundancy protocol)などがあるが,XRNはこれとほぼ同程度の性能である。VRRPと比べたXRNの利点は,通常時にすべての機器を使ってトラフィックを分散処理できること。VRRPでは通常系と待機系の2台が必要で,1台は通常時には使えない。なお,3Comの製品はVRRPには対応していない。

 発表の中で,10ギガビット・イーサネット(10GbE)技術への対応予定も公表した。3Comが開発中の10GbE製品は,LAN向けのレイヤー3スイッチ機器と既存製品用のアップリンク・モジュール。2003年中に発表する予定である。なお,今回の発表はすべて米国では5月6日付けで発表していたものである。

(滝沢 泰盛=日経コミュニケーション)